漆 × 革の可能性

漆 × 革の可能性

戦国時代の漆について

戦国時代は、1467年応仁の乱にはじまり、

1615年、徳川家康率いる東軍が西軍を壊滅させた大坂夏の陣まで、150年間続きました。

 

日本に諸大名がひしめく、武士のいた時代。

 

実はこの頃から日本の歴史と「漆」は、切っても切れない関係にありました。

 

漆の歴史は10000年以上前から続いていると言われています。

戦国時代にはすでに、漆は日本人の生活の中で当たり前に使われていて、文化として根付いていました。

 

今回、漆のモノづくりにおいて戦国時代にスポットライトを当てたのには、この時代に生きた「武士」の存在が大きく関係しています。

最近では、木村拓哉さんと綾瀬はるかさんの映画『レジェンド&バタフライ』などでも注目を集めていて、映画の中でも武将が甲冑をつけているシーンがたくさん出てきます。

この記事を見て、映画の見方も変わってくるのではないでしょうか。笑

 

戦国の武士は、漆を身につけていた!?

武士が敵から身を守るためにつける"甲冑"(かっちゅう)

実はこれに、「漆」が使われていました。

 

と言っても、甲冑に直接漆を塗っていたわけではありません。

 

甲冑に使われていた素材が、伝統的な技法で製造されていて、今も脈々と日本の技術として受け継がれている素材だったんです。

  

国産黒毛和牛の「革」に、日本の「なめし」「漆塗り」を融合させた技術。

 

これが戦国時代、もしくはそれ以上前から日本で編み出され、現代でも製造され続けています。

敵の刀から身を守るために、革に漆を塗って、武士達はその革を甲冑に使っていました。

 

昔聞いたことはあったのですが、ここにきて深く調べてみると、

武士は本当に"漆の鎧"をまとっていたという事実にありつきました。

 

まさに浪漫です。

戦国マニアからしても、漆マニアからしても、この話は酒のつまみにもってこいです。

 

パリコレにも!?

みなさん疑問に思うところはまだまだ多いと思います。

 

そもそも漆の製品に触れたことがある方はご存知かと思いますが、漆を革に塗り重ねていくと、現実的に湾曲させたりするのが難しいように思えます。

 

塗って折り曲げると、バリバリっと表面にヒビがはいることが想像できますよね。

 

実は、武士の甲冑に使われていたこの素材は、自由に湾曲もでき、革の柔軟性も保ちつつ、表面には漆がコーティングされていて、摩擦にも最強な革ができあがります。

まさに漆を知る者からしたら、目から鱗の革。

 

実はこの革、海外からも注目されていて、パリコレにバックや靴、アクセサリーなどが出典した例もあるそう。

日本では、高級腕時計ブランド「グランドセイコー」の限定モデルのバンドに、この革が使用されました。

 

日本を代表する世界の時計メーカー"セイコー"が、いまでは手に入らない限定モデルに採用したこの革。

 

漆を塗った革。まだまだ謎は深まるばかりです。

 

 

その名も「姫路黒桟革」

 

【姫路黒桟革 -ひめじくろざんかく-】

 

戦国時代でも大将クラスの武士の甲冑にのみ、使用が許された貴重な革。

日本人が古くにあみだした「革 × 漆」という伝統的な革。

 

実は、現代にもこれを製造するタンナーさんが、日本に一社だけ残っています。

 

「坂本商店」さん

 

現在、この革が常用されているのは、高級な剣道の防具の一部にのみ使われるだけになったそうです。

 

この革を、昔から「黒桟(くろざん)」と呼ばれていることから、坂本商店さんでは親父さんの代から「姫路黒桟革」と名付け、ブランドを立ち上げ革の歴史を守っています。

  

坂本商店

昨年、あることでご縁をいただき、工房にお邪魔させていただきました。

 

兵庫県姫路にある小さな工房

 

職業柄、職人さんとはよくお会いすることから、

「伝統工芸の職人さんだから、いつものようにお爺さんが出てくるんだろうな」

と、勝手ながら想像していました。

 

でも、出てきたのは僕より歳が二つも若い職人"坂本悠さん"でした。

 

3年前に親父さんが営む工房に帰ってきて、後を継いでいるそう。

 

それ以前は、東京で全く違う職種をされていたそう。

 

親父さん、お袋さん、

そして、悠さん。

家族3人、代々受け継がれてきた技術を、必死に守っておられました。

 

聞くところによると、業界は海外の安価なモノで溢れ、十数年前から右肩下がり。

剣道の人口も減り、道具は海外製ばかり。

需要は減っていく一方だそうです。

 

 

いくつもあったタンナーは、、坂本商店さん一社になってしまいました。

 

悠さんの置かれた境遇は、仏壇屋の倅である僕とほとんど同じ。

話が弾まないわけがありません。笑

 

親父さんとの仕事の話

これからの業界の話

漆の話

最近生まれた小さなお子さんの話、、、

 

初めてお会いした日の3時間は、あっという間でした。

 

帰り際に坂本さんが僕に言った言葉があります。

 

「中川さん。

時代は変わっていきますが、伝統は日本の宝です。

変わらず残していかないといけないものはあると思います。」

 

「僕らは今できることを、頑張っていきます。」

 

 

伝統は国の宝

 

個人の持ち物ではなく、「日本の財産」という意味です。

 

その言葉に、僕は鳥肌が立ったのを今でも覚えています。

 

同じ境遇で頑張っている人がいる。

伝統を守ろうと、家族で必死で立ちあがろうとしている人達がいる。

 

 

僕はそれだけで、魂が奮い立つ思いでした。

 

その日から、坂本さんとは密に連絡を取り合い、何度か工房にお邪魔しては、打ち合わせを繰り返しています。

 

今坂本さんと

僕だからこそできること。

 

JAPAN PRIDE

  

「アウトドアで使いやすい

シンプルで小さな漆の財布

 

日本が受け継いできた誇りを

形にします

 

普段から大きい財布を持ち歩きたくない僕がたどり着いた

坂本さんと僕のモノづくり。

  

 

JAPAN PRIDE TAG

 

姫路黒桟革 坂本商店 × GNU urushi craft

坂本悠 × 中川喜裕

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