今回2年越しに、2回目の無料漆プロジェクトを実施しました。
キャンパーさんの愛用オピネルに、漆塗りを無償で施すプロジェクトです。
たくさんのご応募の中から、20名を抽選で選ばせて頂きました。
「漆に触れたことがない方に、まず漆文化を知ってもらうには、実際に見て、触って、使ってもらったほうがいい。
手に取ってもらえば、絶対に漆の魅力は伝わる。」
その確信のもと、2年前に恐る恐る発信したのが始まりです。
ありがたいことにこのプロジェクトがきっかけで、徐々にたくさんの方に応援いただけるまでになりました。
参加者さんの中から一通の嬉しいメールをいただきました。
ご紹介させてください。
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「今回の企画が当たったらオピネルを買ってねと妻に伝えていたんですが、
私の誕生日が近いこと知っている小学校1年生の長男が、
お年玉を使ってどうしてもパパにプレゼントしたいと言い始め、
今回そちらに送らせてもらうオピネルは、
昨日、息子がお金を使って買ってくれた人生で初めてのプレゼントになりました。
それに漆を塗ってもらえたら、紛れもなく一生物の宝物になります。
色んな意味で唯一無二のオピネルになると思うと、
今から完成が楽しみでしょうがないです。
本日中に郵送させていただく予定です。
今後とも宜しくお願い申し上げます。」
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一生モノと呼べるモノには、必ず物語があり、
"想い"がこもっています。
僕の作るプロダクトにも必ず"想い"を込めるようにしています。
今回、この方の一生モノに携わらせていただけることを大変うれしく思います。
大切に塗らせていただきます。
第一回プロジェクトの心境
そもそも伝統工芸である"漆"を、無料で塗るという粗末な行為は、良くないという同業界人からの声がありました。
そして、原料が高価な漆。
一滴づつ大切に時間をかけて採られた漆は、一滴も無駄にしてはいけないのが、業界の常識です。
漆を無料でばら撒くなんて、先人が守ってきた伝統を汚している。そんな印象があったのかもしれません。
「アウトドアのナイフに漆を塗るくらいなら、ちゃんと今まで通り従来の仕事をしたほうがいい。」
「漆に拘らなくてもいい。これからは、時代に合った塗料でやっていかないと。」
という声があったのは事実です。
伝統を守る。ということは、言い換えると、
今までの伝統を崩さない。
今までと違うことはしてはいけない。
そんなふうにも聞こえました。
でもどうしても納得が行きませんでした。
衰退する日本のモノづくりの技術や、伝統。
日本の風習。
こんなに素晴らしい"漆という文化"が日本にはあるのに。
衰退するのはいったいなぜか。
モノが溢れる近年、海外からの輸入品が多く日本に入ってくる中で
「本物に触れる機会が少なすぎる」と考えるようになりました。
誰に何を言われようが、自分が今やれることをやってみる。
自分なりに発信する。
これがGNUを始めたきっかけとなる、
無料漆プロジェクトの始まりでした。
20名の参加者の皆様
今回はご参加いただきまして本当にありがとうございます。
まだ漆のことを全く知らない方や、少しはすでに興味のある方、
もしかしたら僕の作品を手に取ったことのある方もいらっしゃるかもしれません。
兎にも角にも、お預かりさせていただいたナイフは、大切に漆を塗らせていただきます。
この機会に、漆文化をより身近に感じていただき、皆様の人生の豊かな体験となれば幸いです。
カネイ中川仏壇 GNU 中川喜裕