伊兵衛-ihei-
-
代々受け継がれてきた塗師の心
物心ついた時から、爺ちゃんや親父が漆を塗っている横に、ちょこんと座って、木の切れ端で工作をして遊んでました。
だから爺ちゃんの塗っている漆が知らないうちによく手とか足について、しょっちゅう漆かぶれ。今ではほとんど、漆にはかぶれなくなりました。家業の「塗師」は、僕で5代目。1807年創業というのは、うちに代々受け継がれてきた「漆刷毛」に刻まれている年号です。
先日99歳になる婆ちゃんが天国にいってしまい、笑顔と涙で別れを惜しんでからというもの、「先祖について」考えることが増えました。
工房の冷蔵庫にはなぜか、親父がいつしか貼った「家系図」があります。そこには84人もの名前が書かれていて、それを眺めるたびにいつも、爺ちゃんたちが受け継いできたものを見ているようであったくて背筋が伸びる感じがして。この人たちがいなかったら、今の自分はないんだなぁ、と思いに耽ります。
-
「家業」というバトン
漆を通じて多くの人に与えたい。と思っているつもりが、いつのまにかいつも与えられています。ここまで「家業」というバトンを受け継いできてくた、爺ちゃんたち先祖に。
そして、ここまで応援してくれた方々に本当に感謝しかありません。
心から心からありがとう。
漆器には、カネイ中川仏壇初代 中川伊兵衛の名を借りて【伊兵衛 -ihei- 】と名付けました。屋号カネイの「イ」は、伊兵衛(いへい)の頭文字をとったものだそうです。
誰に感謝を想うかは人それぞれ。自分をここまで育ててくれた人。自分の愛する人。思師。両親爺ちゃんや婆ちゃん。この器を使うたび、みなさんもその人それぞれの「感謝」の想いを巡らせてもらえたらと思います。
形状へのこだわり
Attention to shape
-
②起き上がり小法師の形状
重心を低い位置に置くことで、どんな角度で置いても、器が起き上がります。アウトドアで使用する際こぼれにくい形状です。
食卓で使う際も、食事中は器を何度も机に置きます。低い重心の器は、ストレスなく使うことができます。
-
③内側の形状
ご飯茶碗なので、内側は端が入りやすいような形状にしています。
お茶漬けや卵かけご飯をかき込む時など、より使いやすさを実感していただけるかと思います。