拭渋 huki-shibu
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『だって....恥ずかしいし。』
あのとき母にそう言ってしまったことを、今も後悔しています。
ある日父に連れられ、お仏壇の納品に行きました
綺麗になったお仏壇を、待ちに待ったご家族の方の中に、ひとりおばあさんがいました
どうやら、先立ったおじいさんの法事をつとめるので
お仏壇の修復を父に頼まれたよう
奥からゆっくりと出てきて座り込み、お仏壇に手を合わせ
『ありがとう...ありがとう...』
と、ボロボロと涙を流しながら
父に何度もお礼を言っていました
『仏壇屋ってすごいお仕事だな。』
子どもながらに、誇らしい気持ちでいっぱいになったのを覚えています